13. PDK2:PI3K-Akt経路に欠けていた重要なピース
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青木一郎, 後藤由季子
キーワード
Akt, PDK1, PDK2, mTOR
Aktの十分な活性化には活性化グループのThr308とともに疎水性モチーフのSer473のリン酸化が必要
Thr308はPDK1(3-phosphoinositide dependent protein kinase-1)によってリン酸化されるが、Ser473をリン酸化するキナーゼは長い間その実体が不明であり仮にPDK2と呼ばれてきた
これまでに様々なPDK2の候補が報告されたが、どれも生理的に意義があるとは考えられなかった
最近SarbassovらはmTOR(mammalian target of rapamycin)という分子がPDK2活性を持つことを示した
mTORはS6K(ribosomal protein S6 kinase)のリン酸化などを介して細胞の成長を制御する
mTORはその名前が示すとおりrapamycinによて不活性化するのでS6Kのリン酸化はrapamycinによって減少する
これに対してAktのSer473のリン酸kはrapamycin非感受性なのでmTORがPDK2であるとは思われていなかった
ところが、rapamycinに耐性なmTOR-rictor複合体が発見され、これがAktのSer473のリン酸化に必要であることが示された
ちなみにS6Kをリン酸化するのはrapamycin感受性のmTOR-raptor複合体
現在のところmTORが最も有力なPDK2の候補であるが、これまでの実験結果との矛盾がないわけではない
PDK2活性は細胞膜画分で認めれていたが、mTORは主に小胞体、ゴルジ体、あるいは核に局在する
したがって、細胞膜に局在してPDK2活性を持つmTOR以外の分子が存在する可能性も考えられる